【Yahoo!広告】「拡張クリック単価」の提供終了!理由と今後の対策を解説

Yahoo!広告を運用している方の中には「拡張クリック単価(eCPC)が2025年6月30日に提供終了する」という発表を受けて、どう対応すればよいか困っている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、コンバージョン測定の有無に応じて適切な自動入札戦略に移行することで、これまで以上の成果を期待できます。

今回の記事では、拡張クリック単価の基本的な仕組みから提供終了の背景、具体的な移行スケジュールまで詳しく解説します。

コンバージョン測定の「状況別おすすめの入札戦略」や、「移行前の検証方法」についても具体的にご紹介します。

本記事を読めば、拡張クリック単価終了への不安を解消し、自社に最適な入札戦略を選択できるようになるでしょう。

1. 拡張クリック単価(eCPC)とは?

拡張クリック単価(eCPC)が何かを以下の項目で簡単にまとめています。

  • 拡張クリック単価の基本
  • 拡張クリック単価の仕組み
  • 拡張クリック単価はハイブリッド型入札戦略

それぞれ本章で詳しく解説します。

1-1. 拡張クリック単価の基本

拡張クリック単価(eCPC)は、Yahoo!広告における自動入札機能の一種です。

手動で設定した入札価格をベースに、クリックまたはコンバージョンをできるだけ多く獲得できるよう、入札価格を自動的に調整する機能として活用されてきました。

「拡張クリック単価」は、もともと完全自動入札よりも「広告主自身による調整余地」を残す狙いで登場しています。

Yahoo!広告で拡張クリック単価がリリースされたのは2023年と、比較的最近です。

しかし、Google広告では2010年代前半から普及しており、機械学習が今ほど高精度でなかった時代に、手動入札の経験値を活かしつつ、一部を自動化するバランスの良さが大きな魅力でした。

1-2. 拡張クリック単価の仕組み

拡張クリック単価機能は、コンバージョンの可能性が高いと判断された場合は入札金額を引き上げ、逆にコンバージョンの可能性が低いと判断された場合は入札金額を引き下げるといった調整を行います。

調整時に参考となるのが、ユーザーの検索キーワードや閲覧履歴、時間帯、端末などの情報です。

これらを基に「コンバージョンしやすいユーザー像」を学習することで入札単価を調整することができます。

さらに、手動で設定した入札金額をベースに入札を行うため、入札金額の異常値による高騰を防ぎ、広告費用を最適化しながらコンバージョンを増やすことができる優れた機能です。

1-3. 拡張クリック単価はハイブリッド型入札戦略

拡張クリック単価は手動入札と自動入札のハイブリッド型の入札戦略といえるでしょう。

そのため手動での細かい調整の手間を省きながらも、ある程度のコントロールを維持できるといったバランスの良さが大きなメリットでした。

とは言え手動で設定したにもかかわらず、思った以上に単価が上がっていたり、完全自動入札ほど機械学習の効率が良くないといったデメリットもありました。

2. 拡張クリック単価(eCPC)提供終了の背景

「なぜ便利な拡張クリック単価が終了してしまうのか?」とお思いの方も多いことでしょう。

その背景と業界全体の動向について解説します。

2-1. 広告配信における自動化の進化

提供終了の背景には、広告配信のさらなる自動化・高度化があります。

Yahoo!広告では近年、機械学習を活用した自動入札タイプの拡大や精度向上など発展が続いていました。

例えば「コンバージョン数の最大化」や「コンバージョン価値の最大化」などの新しい入札戦略でも、拡張クリック単価以上の成果を上げられるようになったことが提供終了に至った主な理由です。

2-2. 業界全体の動向

実際、Yahoo!広告に先駆けてGoogle広告でも、2025年3月24日に拡張クリック単価が完全に廃止されており、業界全体で手動ベースの調整から機械学習による自動化へシフトしていることがわかります。

各種DSP(デマンドサイドプラットフォーム)などもAIを活用しはじめ、入札単価の自動調整アルゴリズムが急速に高精度化しているのも見逃せません。

こうした流れは、広告運用者がより戦略的な部分(クリエイティブの改善やターゲット戦略)に注力する余地を増やせるとも言えるでしょう。

もちろん機械学習自体の調整は必要ですが、細かな入札調整は自動で行い、全体の設計や検証に注力することで、一層のパフォーマンス向上が期待できます。

3. 拡張クリック単価提供終了のスケジュール

拡張クリック単価の提供終了について「いつまでに何をすればいいの?」と不安に思われている方のために、スケジュールを以下の3段階に分けて解説します。

  • 移行準備期間(6月17日まで)
  • 新規設定停止日(6月18日)
  • 完全終了日(6月30日)

3-1. 移行準備期間(6月17日まで)

2025年6月17日(火)までは、適切な入札戦略への変更が推奨される期間です。

この期間中に、新しい入札戦略への移行準備を進めておくことが重要になります。

まだ、機能の制限などはありませんが早めに準備を進めておきましょう。

過去のコンバージョンデータを整理し、どの自動入札戦略が適切かを見極めて目標CPAやROASの基準を明確にしておきましょう。

3-2. 新規設定停止日(6月18日)

2025年6月18日(水)以降は、Yahoo!広告システムによる入札戦略の自動移行期間となります。

18日以降は拡張クリック単価の新規設定ができない

この日以降、キャンペーンの新規作成や編集時に拡張クリック単価を選択・有効化することができなくなるため、注意が必要です。

18日からはアカウント単位で入札戦略設定が「手動入札:個別クリック単価」へと自動変更されます。

移行はアカウント毎に順次実施されるので、具体的なタイミングはアカウントによって異なることを把握しておきましょう。

なお、A/Bテスト実施中のキャンペーンであっても期間中に順次移行が行われます。

3-3. 完全終了日(6月30日)

6月30日(月)には完全に提供終了となり、以降は使用できません。

以上がYahoo!広告の公式から発表されているスケジュールです。

自動移行の期間も考慮すると、少なくとも2025年6月18日(水)までに新しい入札戦略の移行準備を終えておくのがおすすめです。

4. 拡張クリック単価終了に伴う対策

「拡張クリック単価がなくなったら、どの入札戦略を選べばいいの?」とお思いの方も多いのではないでしょうか。

Yahoo!広告では目的別に推奨される入札戦略が案内されているため、自社のキャンペーン目的やKPIに照らし合わせ、適切な入札戦略を選択することが重要です。

そこで本章ではおすすめの方法を、ケース別に解説します。

4-1. コンバージョン測定を行っている場合

コンバージョンを測定する場合の入札戦略は、目標値があるかないかで選択肢が分かれます。

目標値を持っている場合

目標とするコンバージョンの数値が決まっていてもその内容はさまざまです。

例えば「1件あたり2000円以内で契約がほしい」とCPAに重きを置いている場合もあれば「投資した広告費に対して120%の売り上げ(ROAS)を狙いたい」とROASを重視するケースもあるでしょう。

それぞれ以下の入札戦略を選ぶことをおすすめします。

目的推奨入札戦略
目標のコンバージョン単価でコンバージョンを最大限獲得したいコンバージョン単価の目標値(tCPA)
目標の平均広告費用対効果(ROAS)で高いコンバージョン価値を獲得したい広告費用対効果の目標値(tROAS)

広告グループ単位で直近30日間にコンバージョン数が40件以上見込めるキャンペーンでの設定をおすすめします。

というのも、機械学習は「過去のコンバージョン実績」をもとに、どんな条件(ユーザー属性・キーワード・時間帯など)が成果につながりやすいか学習する仕組みです。

そのため、コンバージョンが極端に少ないと、システムが「何が成功パターンか」を判断しづらくなり、正確な最適化が困難になります。

目標値を持っておらず、予算内で最大化したい場合

明確な目標の数値は決まっていなくとも「とにかく今月の予算内で、できるだけ多くの成果(購入や契約)を増やしたい!」場合もあるでしょう。

その中でもさらに「とにかく件数を増やしたい」「高額商品や利益率の高い商品を積極的に売りたい」と目的が異なります。

それぞれ、以下の入札戦略がおすすめです。

目的推奨入札戦略
予算内でコンバージョンを最大化したいコンバージョン数の最大化
予算内で価値の高いコンバージョンを最大限獲得したいコンバージョン価値の最大化

広告グループ単位で直近7日間にコンバージョン数が20件以上見込めるキャンペーンでの設定をおすすめします。

現在のコンバージョン数を確認し、適切な入札戦略を選択してみてください。

4-2. コンバージョン測定を行っていない場合

コンバージョンよりも流入数の増加や認知度の拡大を優先するケースもあるでしょう。

例えば、新サービスをリリースして、とにかく多くの人に知ってもらいたい場合や、最上部に広告を表示させることでブランディングとして、自社広告をトップに置きたい場合です。

それぞれ以下の入札戦略がおすすめです。

目的推奨入札戦略
クリック数(流入数)を最大化したいクリック数の最大化
検索結果のページ最上部に広告を表示し、認知度を高めたいページ最上部掲載

4-3. 移行前までの検証方法

新しい入札戦略への移行を検討される際は、Yahoo!広告のA/Bテスト機能の活用をおすすめします。

Yahoo!広告でもA/Bテスト機能が存在しており、前回解説したGoogle広告と同様の検証が可能です。

A/Bテスト機能を利用することで、変更前の拡張クリック単価の配信を行いながら、変更予定の新しい入札戦略の配信を同時進行で行うことができるので同じ配信環境でパフォーマンスを比較できます。

弊社でも現在移行作業を進めており、新たな入札戦略の模索とともに広告戦略の見直しを行っています。

ご自身での設定に不安がある方や、ABテストについてあまり自信がない場合は弊社でもサポート可能です。

以下のリンクから当社にご相談ください。

まとめ

拡張クリック単価(eCPC)は、Yahoo!広告の手動入札と自動入札を組み合わせたハイブリッド型の入札戦略でした。

しかし、機械学習技術の進化により完全自動入札の精度が向上したため、2025年6月30日に提供終了となります。

移行スケジュールは6月17日まで準備期間、6月18日以降新規設定停止、そして6月30日に完全終了となっています。

移行にあたっては、コンバージョン測定を行っている場合「コンバージョン単価の目標値」や「コンバージョン数の最大化」への移行が推奨されます。

一方、測定していない場合は「クリック数の最大化」や「ページ最上部掲載」を選ぶ必要があるので、最適な入札戦略を選べるように準備しておきましょう。

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